プロ野球選手会は交渉することが役割
プロ野球選手たちは、野球選手である以上に球団から雇用されて働く労働者である、と考えたことはありますか。そんな労働者であるプロ野球選手の労働組合が選手会であり、球団の幹部たちが集まるオーナー会議や日本のプロ野球を管轄するNPBという組織に対して交渉を行うことがあるのです。
選手たちの権利を守ることが最大の腕の見せ所となる選手会ですが、野球界全体の発展のためや社会貢献のために声をあげることも少なくはありません。そのためファンからは労働組合としての印象よりも、しっかりとした選手たちの集まり、と認識されている節さえあります。
そんな選手会がこれまで交渉してきたことにはとんでもない案件も含まれています。近鉄バファローズが解散しオリックスブルーウェーブへの合併が決まったことを機に、球界が再編の動きを見せたことがありました。プロ野球の球団数を減らそう、とする向きがオーナー会議でも決まり始めていた場面もありました。これでは多くのファンに試合を見せられない、野球界の損失だと判断した選手会はストライキを起こし、試合をしないことでNPBやオーナー会議へと反抗する意志を見せたのです。
それでも試合をしない球場に足を運んでくれたファンのために精一杯ファンサービスをするなど、プロ野球選手のスターとしてのイメージを守るよう、計らったのです。
そのような大きな交渉は2010年代では起きませんでした。しかし、フリーエージェント権の獲得までの年数を短くしてはどうか、とする提言をしたり、球団ごとでポスティングシステムに対する態度が異なるなどの問題に果敢に切り込んでいきました。現役ドラフト、という他球団のファームで日の目を見られていない選手を引き抜ける制度を作るなど、選手たちがより広い環境で活躍できるような仕組みを作る動きも出ています。選手たちの労働組合である選手会は、今日も権利を守るため交渉をしているのかもしれません。